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発達障害当事者・家族支援の構築に向けて①~鳥取県立精神保健福祉センター視察

8月26日27日と29日30日と4日間、発達障害当事者・家族支援の構築に向けて鳥取県・大分県に視察に行ってきました。初日は鳥取県での取り組みについての勉強です。

先進的な自治体の優れているところ、そして何よりも今後の課題や方向性を実際の現場で携わっている方々から直接生の声を聴くことで、その次に何をすべきことが求められているのか、政策立案の糧がそこには凝縮されています。先進的に施策が展開している自治体、専門機関、大学の先生からのアドバイスを頂きながら、さらにそれ以上のものとなる施策を政策立案という形で実現し構築することで、足立区から全国を変えていく原動力を築いていきたいという信念で日々、研究しているところです。

今回、大変ありがたいことにこの鳥取県の視察については、誰と会って、何を調査するのがより効果的なのか、それを的確に鳥取大学院医学系研究科 教授 井上雅彦先生がコディネートして下さいました。

初日の行先は、鳥取県立精神保健福祉センターです。

ここでは、鳥取県福祉保健部参事監 鳥取県立精神保健福祉センター所長 医学博士の原田豊先生とお会いしてきました。大変お忙しい中での面会をしていただきました。成人期の発達障害について、今まで会ってきたアスペルガー専門と称する先生方の中で、一番成人期の発達障害に関して知識があり、現場を踏まえ、よく理解していらっしゃる本物の先生でした。

ここでは、面接や電話などによる相談を行っています。対象は小児期から老年期まで、内容は多義にわたります。

近年の傾向としては、マスコミなどによる報道を介して、幼少期に見過ごされた成人期の発達障害者の社会的不適合などが注目をされ始めました。それにより、成人の発達障害に関する相談も全国的に一気に増加している傾向があります。しかし、相談はしてもその後の受け皿がなく、地域、社会での発達障害に対する理解は不十分なままです。

発達障害は、認知、情緒、行動、知能、知覚などの発達に生まれ持っての問題があり、そのことにより日常生活に支障をきたし、時として社会的支援を必要とする状態にあります。

にもかかわらず、約9割の人が不適応反応が起きるまで、発達障害と気付かれにくい状態です。

原田先生によると、アスペルガー症候群の人もしくはその特性を強く持つ人たちは、厳密な診断基準から行けば十分な確定診断に至らない事例もたくさんあるそうです。しかし、現実の社会の中でアスペルガー症候群の診断に至らなくても、その傾向を強く持つ人達もその特性によってさまざまな生きづらさを抱え込んでいるそうです。

本人や家族が求めているニーズを家庭や学校、職場、地域社会の中でその特性によって生じている様々な不利益や無理解を軽減していくことこそ、新たな2次障害を防ぐことにも繋がるそうです。

現在まで、幼少期に知的な障害が見受けられない場合にはほとんどの人が見過ごされ、成人期まで発見されずに至っている現状があります。知的障害を伴わない発達障害者は、勉強が出来ればそれはその子の個性とみなされ、何の支援も受けないまま、大人になってしまっています。社会に出た時に、本人はコミュニケーション能力に欠ける為、就職しても仕事が続かない、あるいは本人が不適応状態を自覚せずに周囲が非常に迷惑をして、周りが困り感を持ってしまう現状です。そしてそこから2次障害として鬱や人格障害が併発して行き、手遅れ状態に陥っています。

そのような状況下にもかかわらず、今の社会ではその人たちに対する受け皿がないため、発達障がい傾向が顕著に見える人でも、家族が本人を医療に繋げても、本人が困り感を持っていなければ医師は診断名を付けないという現実があります。家族は何とか救ってもらいたい、今の現状を改善したいと思い、切実に救ってもらいたいと願っているにもかかわらず、社会的な整備が全く乏しいために適切な支援にのらず、一向にその困り感は改善されずに家庭不和による離婚率が上がっている現状です。

原田先生もおっしゃっていました。

多くの人がアスペルガー症候群、もしくはその傾向を強く持つ人たちのことを少しでも理解し、適切なかかわりをしていくことが必要だと。

鳥取県をモデルとして、原田先生は現場を良くご存じでした。

そのような事態に陥る前に、早期に周りが気付き、本人に対する適切な対応が2次障害の併発を予防することに繋がるとおっしゃっていました。

また、各関係機関が発達障害に関する正しい理解と知識を深め、他機関の機能を整備し、求められるニーズに対して適切に応えていくことが重要だという話しでもありました。

また、それを今後、構築していかなくてはいけない課題でもあるそうです。

この10数年間、原田先生はアスペルガー症候群の本人やその家族と関わっていく中で、学校や職場、保健所、福祉事務所、児童相談所、市町村、精神科医療機関、福祉サービス事業所など多くの関係機関と連携をとってこられてきました。私は、原田先生のような現場をよくご存じの精神科医の先生が、もっと厚労省など国と連携をするのが一番だと感じています。

昨年、私は国会議員の発達障害者議員連盟に参加をさせていただきました。しかし、そこで私は正直申せば、中身が薄いと感じました。厚労省の内容はあまりにも漠然としすぎており、またそこでの国会議員の討論も幼少期ばかりに目を向け、成人期の発達障害に関する内容は皆無でした。

ここにいる人たちは、現場を知らなすぎる。私はそう思いました。

そのような壮絶な状況を知っているからこそ、本人や本人を支える家族からの切実な声を理解できる医師や現場を知っている人たちが中に入り、代弁する必要性・重要性があります。

実際の現場で何が起きているのか?

もっと声なき声に耳を傾け、効果的な支援策を構築していかなくてはいけない喫緊の課題です。

現場で何が求められているのかを知っている人が入らなくては、厚労省が打ち出す政策もただの絵に描いた餅でしかすぎないと私は痛切に感じています。


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