【さとゆみ暮らしのほっとステーション】
佐藤ゆみ:さて、この7月はカラーユニバーサルデザインをテーマにお届けしています。
前回は色弱、色の見え方、カラーユニバーサルデザインとは、というところをうかがってきました。例えば、私たちが強調したい内容を赤い文字にしたりすることがあります。しかし、背景の色によっては黒い背景に赤い文字だと逆に文字が落ち込んでしまってかえって見えづらい時があります。また、色の見え方は、血液型がO型やA型等とあるように人によってC型B型といったいくつかのタイプがあって、光の感じ方から認識される色が異なっています。こうした中で、色の組み合わせを工夫したり、色と同時に形の違いや線の種類を工夫することですべての人に美しく感じられるカラフルなデザインを作りつつ、情報をきちんと伝えることを可能にするのが、このカラーユニバーサルデザインです。
今週は、このカラーユニバーサルデザインを導入している数々の取組み、防災マップや駅の案内板、あるいは行政での取り組み等について全国に先駆けて、お隣足立区でカラーユニバーサルデザインを進めている長谷川孝子足立区議会議員に前回に引き続いてお話を伺っていきます。
佐藤ゆみ:さとゆみ暮らしのホットステーション、今日も引き続き、行政まちづくりへの、カラーユニバーサルデザインを進めている足立区議会議員、長谷川たかこさんにお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。
長谷川たかこ:足立区議会議員、長谷川たかこです。よろしくお願いいたします。
佐藤ゆみ:長谷川さん、先週は色の見え方が違うことによって生活上、様々な困難があったり情報が取れない状況、また教育現場での問題などのお話を伺いました。これに対して、どのような具体的な取り組みが進められているのでしょうか。
長谷川たかこ:はい。議会で政策提言をしてからすぐに新設された日暮里舎人ライナーの駅の案内表示に導入をしていただきました。また、区の広報物として足立区のごみ出しの分別表に導入され、足立防災マップに至っては全国で初めてカラーユニバーサルデザインの認証マークがついたことで話題になり、NHKや東京MXテレビのニュースで報道されました。
区役所や区民事務所にある番号呼び出し気機は施設の更新に合わせて順次文字の色を、色弱者が見えにくい赤から、白に変えていただきました。足立区にお越しの際には、ぜひ皆さん注目していただきたいと思います。
さらに昨年の三月には新規に開校した区立の小中一貫校・新田学園で、校内のすべての案内表示にカラーユニバーサルデザインが導入され、日経新聞などでも取り上げられました。関係者の話では、公立の小中一貫校で後者のカラーユニバーサルデザインに取り組んでいる例は、全国で初めてということです。
またここ数年、目に見えて教科書会社がカラーユニバーサルデザインに配慮した教科書作りをしてくださったことは、この間お話をさせていただきました。このほか、多くの企業で取り組みが進んでいるとお聞きしています。
佐藤ゆみ:カラーユニバーサルデザインを進めるために、自治体としてはどのような取り組みを行っているのでしょうか。
長谷川たかこ:はい。足立区では、カラーユニバーサルデザインガイドラインを作成し、区の職員に配布されただけでなく、区の職員や学校の養護教員を対象とした研修会も開かれています。実際にこのガイドラインに基づき、足立区民の皆さんに配布する足立区議会だよりや庁舎内の申請書、カラーマップ、子育てガイドブックなどの印刷物にもカラーユニバーサルデザインの考え方が導入されています。
また、昨年の4月から足立区公共建築物整備基準が改定されました。
これにより、新設や改修される足立区の公共建施設や案内板には、すべてカラーユニバーサルデザインに考慮されることとなりました。こうした取り組みをご紹介すると、多額の経費がかかっているように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、よほど致命的なものでない限りは施設の更新時や次の印刷の時に色使いに配慮したものに変えていくという考え方のもと取り組まれているため、普通の更新に比べて大きな費用がかかっているわけではありません。
佐藤ゆみ:ガイドラインであったりとか、あるいは基準を策定をしても形だけになって進まない自治体もあると聞いています。
長谷川たかこ:正にそのとおりだと思います。
残念ながら、カラーユニバーサルデザインに関してもガイドラインは作ったものの、取り組みとしてはほとんど進んでいない自治体もいくつかあります。実際に取り組みを進めていくためには、ガイドラインや指針などだけでなく、それを運用する職員の皆さん、そしてそれらの作成に携わる事業者の方の理解が必要です。そのためにも教職員を含めて、実際に現場で働く職員の皆さんへの研修などを通じた啓発活動は欠かせません。また、一過性のものに終わらせないためにも継続した取り組みは勿論ですが、仕様書などに盛り込んだり、チェックリストで常に確認するなど、日常の業務の中にシステム的に取り入れていくことが必要です。
佐藤ゆみ:前回、今回と続けて色の見え方、色弱者の方の情報の取り方の困難さであったりとか、あるいはそれに対して解決するための自治体の取り組みなど、数々のお話を伺ってきました。
今後に向けて、またこのラジオを聴いて皆さんに対しての呼びかけをお願いします。
長谷川たかこ:はい。カラーユニバーサルデザインと聞くと、すぐに一部の色弱者の方のための福祉的な取り組みを思われることが多くあります。確かに、色の区別がつきにくいことが原因の事故を防止したり、危険を減らすことも大切です。
しかし、実際に遺伝によるものだけでなく高齢者が白内障などを患い、色の区別がつきにくくなることもありますので、誰にでもなる可能性はあるわけで、一部の人のためとは一概には言えません。
また、カラーユニバーサルデザインはその導入に当たり、様々な検討がなされています。たとえば、ある人にとって目立たない色使いで重要なことが表示されていると、情報の受けては勿論のこと、情報の発信側の不利益になることもありえます。また、色使いを検討すると同時に、どこまでが本当に必要な情報なのか、どこまでが意味のある情報なのかを精査していくことになり、結果的に過剰で無駄なものは排除され、すべての人にとって分かりやすく整理されたものになります。
カラーユニバーサルデザイン、このようにすべての人にとってわかりやすい色使いであることを目指しているため、正にユニバーサルを目指すものなのです。
私は、この政策を提案するにあたって区民の方から最初にお話を聞いた時には強い衝撃を受けました。勇気をもって私にお話をしてくれた方のためにも、私は全力で取り組んでいきたいと決意しました。
遺伝による色弱者の数は、自然界ではメンデルの法則で将来的にも確率的に一定の割合になります。
また、高齢化社会を迎え、白内障が原因で色の区別がつきにくい方も確実に増えていきます。
私自身もさらに調査・研究を重ねて政策提案をし、全国のお手本となるカラーユニバーサルデザインを足立区から作り上げていきたいと思います。
私の区議会議員としての目標の一つでもある、みんなにやさしいまちづくりのためにもカラーユニバーサルデザイン、そして広くユニバーサルデザインのさらなる取り組みを進める必要性があると考えています。
最後にユニバーサルデザインの取り組みにおいて、最も重要なことは少しの工夫、ちょっとした気遣いです。みなさんのちょっとした気遣いで、ぜひみんなに優しいまちを一緒に作っていきたいと思います。
ありがとうございました。
佐藤ゆみ:今月7月は、2回に渡り、カラーユニバーサルデザインを進める、足立区議会議員長谷川たかこさんにお話を伺いながらお伝えをしてきました。
長谷川たかこ足立区議会議員、ありがとうございました。
長谷川たかこ:ありがとうございます。
佐藤ゆみ:今月お届けしてきました、カラーユニバーサルデザイン。
いかがでしたでしょうか。
カラーユニバーサルデザインは先天的な色弱の方のみならず、ロービジョン、視力にハンデのある方や高齢による視力の低下、白内障による色の見え方の変化などにも対応しています。
色の見え方の個人差による危険や不便を取り除くことは、誰かが取り組まなければならない課題です。
現在私たちは、日常の活動においておよそ80%の情報を目から入手しているといわれ、視覚情報に頼っている状況があります。一方、発信される情報自体も、色使いを考慮する段階で、本当に必要な情報かそうでないかも精査され、わかりやすく整理されていきます。カラーユニバーサルデザインとは、決して一部の人だけではなく、すべての人のための、まさにユニバーサルを目指すものです。このユニバーサルデザイン、知っていただいて、皆さんの身近なところから輪を広げていただけることを期待しています。
あなたの暮らしと都政をつなぐ、さとゆみ暮らしのホットステーション。また次回、8月12日、お耳にかかりましょう。佐藤由美でした。