今日は、世田谷区役所に伺い、先進的に行われている「産後ケアセンター事業」について、視察をしてきました。武蔵野大学での視察は、大変混み合っているため、今回、視察は不可能でしたが、区役所でお話を伺うことができました。
少子化が急激に進む中、子どもに接する機会がないまま、初めて子どもを持ち、子育ての難しさに直面する親が増えています。さらに、核家族化による産後のお世話や子育てを家族だけで担うのが難しくなっており、産後の母子を中心とした専門職による育児支援が全国的にも構築されつつあります。そのような中で、世田谷区では、これらのニーズに応えるため、世田谷区と武蔵野大学が協働で産後4か月未満の母子を対象とした育児支援を目指しています。
武蔵野大学の産後ケアは、平成20年3月に開設されました。母と子の癒しと安らぎの育児支援施設としての役割を果たしているそうです。世田谷区に居住する生後4か月未満の子どもとその母親が対象で、産後に育児不安や体調不良があり家族などから支援を受けられない人が利用できるようになっています。利用日数はショートステイ7日間まで、デイケア7日間までとなっています。利用者負担金は、ショートステイ(宿泊)は1泊6400円、デイケア(日帰り通所)は2060円で非課税世帯には減免措置があるそうです。
利用実績としては年々上がっており、施設を開設した平成20年は279組だったのが、平成26年度には907組もの母子が利用しています。月に計算すると平成26年4月の利用状況では、申込件数249件(1日平均11.8件)、予約数142件(1日平均6.8件)となっています。
この産後ケアのキーワードは、「母親の自立支援」です。
①ケアをされることで、夫や子供にやさしくなれる。
②ゆったりと休息を得ることで、また自宅に戻っても頑張れそうな気がする。
③ピアカウンセリングをすることで交流が生まれる。
この3つの支援が、子育て中の母親のさらなる活力につながるそうです。
利用した人たちの声としては、「安心した」「頑張らなくてよかった」などの声が多いそうです。
全国的に見ても生後4か月までの死亡事例が多く、世田谷区では平成20年から始めた産後ケア事業を虐待予防策にもつなげ、効果を発揮しているそうですが、もっと以前から虐待予防策を一次予防から三次予防まで網羅し対策を講じているそうです。
以下、世田谷区が平成14年から始めている、虐待一次予防策から三次予防事業の内容です。
一次予防の特徴的事業 産前・産後支援(さんさんサポート)事業
開始日:平成17年10月から
目的:産前から産後子どもが1歳になるまでの間の育児への不安や負担が生じやすい時期に子育て支援ヘルパーを派遣して家事、育児補助を行うことにより負担の軽減や子育ての安定化を図る。
対象:妊婦のいる家庭、出産後1年以内の家庭
時間:9時~17時のうちの2時間
内容:家事援助(食事作り、買い物、掃除など)育児補助(おむつ交換、だっこ、あやしなど)
回数:子ども一人につき3回まで
料金:無料
二次予防の特徴的事業 子ども・子育てテレフォン事業
開始日:平成17年11月から
目的:妊婦、子育て中の保護者及び子どもの悩みや日常的な子育てに関する相談に電話により応じることで、子どもの健全な育成と子育て支援、児童虐待の未然防止などを図る。必要に応じて、子育て支援サービスなどの案内や子ども家庭支援センター(生活支援課、健康づくり課)の相談業務と連携を図り、フォローの必要なケースをつなぐ。
対象:妊婦、子育て中の保護者など、18歳未満の子ども
対応:平日 17時~22時 土日・祝日 9時~22時
体制:常時、非常勤専門相談員2名で対応
三次予防の特徴的事業 養育困難家庭ホームヘルパー派遣事業
開始日:平成14年4月から
目的:何らかの事情で子どもの養育が困難と認められる子育て家庭に、一定期間ホームヘルパーを派遣することにより、虐待の予防及び当該家庭の自立を支援する。
対象:子どもの養育に著しく困難があり、勝つ子供の健やかな成長に何らかの支障がある家庭
時間:7時~21時の間で2時間以上8時間以内
内容:育児、子供の送迎、子どもへの援助(食事、入浴の世話、掃除など)、自立へ向けた親への助言・指導
回数:原則として月12日以内、派遣開始後1年以内
料金:世帯の食により異なるが最高で800円(1時間当たり)
三次予防の特徴的事業 学生ボランティア派遣事業
開始日:平成18年12月から
目的:虐待を受けている(受けていた)児童などを対象とし、学生ボランティア2名を派遣して、遊び・学習・話し相手などの活動を行い、子どもの健全育成・自立支援を図る。
対象:虐待を受けている(受けていた)児童、不適切な養育環境にある児童等
時間:平日15時~18時まで、土曜日は9時~17時までの間で焼き1時間30分
内容:遊び・学習・話し相手など
回数:月2回、派遣期間は最長で2年(半年ごとに要否を判断)
場所:児童宅または周辺の区関連施設
世田谷区では児童虐待の推移は下がってはいませんが、予防(一次予防)から早期発見・早期対応(二次予防)をし、再発防止(三次予防)に向けた仕組みを構築されている世田谷区の取組みは大変勉強になります。
世田谷区の取組みをお手本にしながら、子供が健やかに育ち、親も共に成長できる仕組みを今後も考えていきたいと思います。
本日は貴重なお時間を頂き、大変有意義な視察をさせて頂きました。
ご説明を頂きました、関係部署の皆様、本当にありがとうございました。