今日はペアレント・メンターあだち ねっとワーク主催の講座に参加をしました。
場所は、北千住シアター1010ギャラリーAで行われました。
講師は鳥取大学医学系研究科臨床心理学講座教授・ペアレント・メンター研究会理事長 井上雅彦先生です。
東京都でペアレント・メンターが本格的に動いたのは、足立区が初となります。ペアレント・メンターは私の区議会での提案後に井上先生に多大なご尽力を頂き事業が成功しました。
今日の講演では、井上先生からは「発達障がい・知的障がいのある子の家族支援について」まず1部でお話を頂きました。
井上先生からは、知的障がいのない発達障がい特性の強い人に対する支援をどのように考えていくのか、お話がありました。圧倒的に多いのは、特性が強く出ているけれども診断名がついていないぎりぎりのボーダーラインにいる人だそうです。このような方々は、行政や国の支援の対象になっていません。診断名があるか否かで支援メニューが決まってしまっている状況の中で、その壁を取り除いて、全ての人が支援の乗せられることが目標とおっしゃっていました。一番印象的だったのが、子どもを支援する場合には、親も支援をしなければ子どもの支援にたどり着かないという先生のご見解でした。
このことは私もまさにそのように思っている一人でもあります。
2部では、一般社団法人ねっとワーキング代表理事の日笠ようこさんからお話を頂きました。具体的な「いいとこ綴り」のノートを作るにあたってのアドバイスです。
障がいのある子との歩みには、その時々に必要な記録が必要となってきます。気づいた時から負担なくつづれて必要な時にもれなく取り出せるように、ペアレント・メンターの視点でまとめた「いいとこ綴りノート」&「サポートファイル」をねっとワーキングでは用意しました。
既に国ではこの個別支援シートを各自治体でも作るよう促していますが、鳥取県や埼玉県では県レベルでの取り組みが進んでいましたが、東京都では手薄の状況でした。このような状況下で足立区のペアレント・メンター事業の中で取り組みを進めて頂けることは大変うれしいことです。
今年度は、足立区のペアレント・メンター事業の中で「サポートブック」綴りを親同士の交流の場で進めていくそうです。子どもの今を支え、福祉サービスや将来の制度の利用にもれなくつなぐための準備となる試みです。
4月からホームページ上でダウンロードをして一般の方々にも使用できるようになります。
ペアレント・メンターの皆様からお聞きする話では、子どもの個別支援シートを書くことは結構難しいとのこと。そもそも、赤ちゃんの頃から母子手帳に保護者が記録をするページにおいても、自分の子供の成長が追い付いていないと母子手帳が真っ白のまま何も記入せずに終わってしまうそうです。成長する過程で日頃からちょっとしたことを書き溜めて書き方のコツをつかんで記入することが必要です。
ねっとワーキングでは、この「いいとこ綴りサポート」をお茶菓子を出しながら和やかな雰囲気で行っています。体験した方々からは、「何から手を付けてよいのかわからずにいたので、大変助かった。温かく迎えてくださり、前向きなお言葉を頂き心が軽くなりました。」とか「記憶はあいまいになりがちなので、日付や子どもの様子は記録することがとても大切なことだと感じた」との参加者の声が上がっています。
鳥取大学教授の井上先生がおっしゃる「子どもを支援する場合には、親も支援をしないと子どもの支援にたどり着かない」という言葉はここでも実感させられます。
現在、小中学校に対する支援シートの作成については、足立区が様式を提示しているだけでは不十分です。まず、教員及び保護者の理解が不十分な点もあり、効果的に活用されていないのが現状です。今後、一般社団法人ねっとワーキングを各小中学校の校長会や各学校に出向いた形での教員研修を増やし、教育、保健、医療、福祉等が連携した児童・生徒を支援する長期計画としての「支援シート」が作成できるよう区として整備するよう求めていきたいと思います。