今日は日野市教育委員会が積極的に取り組みを進めている「ユニバーサルデザインの教育」について、日野市立潤徳小学校の視察をしてきました。
文部科学省が平成24年12月に公表した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」の報告によると、知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示す発達障がいと思われる状態の児童生徒の割合は、全体の6.5%であることが明らかになりました。
その内、授業時間内に個別の配慮・支援を受けている子供たちは45%、授業時間以外の配慮が26%、現在も過去も支援を受けていない子どもは39%にものぼり、この調査の考察には「学習面、行動面で困難を示す児童・生徒を取り出して支援をするのではなく、それらの児童・生徒が理解しやすい配慮した授業改善を行うことが大切」との見解を示しています。
現在、全体で6.5%もの子ども達に発達障がい傾向があり、小・中学校だけでも約61万人程度もいる計算になります。この数値から、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒が40人学級では2~3人、30人学級では1~2人在籍している可能性があり、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が「どの学級にも在籍している可能性がある」という意識をもつことが必要となります。
日野市では、平成22年度に東京都日野市の全小中学校25校・全教師約650名が参加し、通常学級内での特別支援教育の実践の現状と報告、到達点をまとめた書籍を発行しました。執筆者は東京都日野市公立小中学校全教師と教育委員会、日野市教育委員会の特別支援教育の助言をしている小貫悟明星大学准教授です。
学習環境から指導方法に渡るまで、発達障がいなどの傾向のある子ども達に対し、通常学級で配慮ある取り組みの実践事例集を東京書籍から「通常学級での特別支援教育のスタンダード」として一冊の本にまとめ、広く全国に向けて発行しています。
平成19年度から全国でスタートした特別支援教育に対して、日野市はいち早くその前の年の平成18年度から取り組みの検討を始め、市の教育委員会の中に特別支援教育推進チームを立ち上げ、明星大学と連携をし、各学校の巡回相談を強化し、どこの学校であっても特別支援教育に関わる悩みがある場合には、その内容に応じて行政や専門家などが相談にあたるという目標達成に向けた体制を整えたそうです。
ハード面では、全小学校に「リソースルーム」と称して、週に1~2時間の個別指導が受けられる学習支援室を設置し、平成19年にモデル校を立ち上げ、平成23年に全小学校17校で実施し、現在では約350人もの児童が利用しています。
また、中学校では、平成24年にはモデル校を立ち上げ、今年度からは2校のモデル校で「リソースルーム」が実施されており、1週間に1時間の学習支援が行われています。 この「リソースルーム」は個々の子ども達の学習支援である為、その子の能力や個性にあった教材や指導方法の工夫がなされており、基礎学力の定着に結びついています。
特別支援教育の視点を全ての児童生徒の指導に生かす取り組みを始めたことにより、一人一人の教育のニーズを把握した適切な教育支援が行われています。これは、障害の有無にかかわらず、全ての児童生徒の指導に効果を発揮しているようです。
校内見学もさせて頂きましたが、校内には様々な工夫がなされています。
例えば、全教室では徹底して落ち着ける環境を整えるように工夫がされています。
教室の中はすっきりとシンプルで余計なものは置かない、黒板の横の壁にはカーテンをつけ、掲示物を隠していました。棚にもカーテンをつけ、目隠しがされていました。これは、周りの刺激に配慮したものです。
提出物は整然と整理されるように、専用の箱が用意されており、視覚ですぐにわかるように箱一つ一つにシールが貼ってありました。
また、日常の学校生活内での通風、換気、室温、音などにも配慮しているそうです。
ちょっかいを出す、話しかけるなど、刺激し合う子をお互いに離れるような座席位置にするなどの配慮もしているとのことでした。
さらに、学校の活動面では、見通しがもてるように子ども達に意識を促す取り組みもされています。
例えば、一日の予定を確認し、子どもの状況や学習内容に合わせて、カードを使って提示したり、ICT(情報通信技術)を活用し、視覚的にわかりやすく示していました。
また、「一人一役マグネットボード」が各子ども達の机の前に貼り付けてありました。これは、日直の時には黒板に自分のマグネットを貼りつけたり、係の仕事が終わったら名前のマグネットを隣のボードに移すことで、仕事が終わった子と終わってない子が一目瞭然でわかるようにしたものです。これにより、子どもにとっては活動状況が自覚しやすくなり、担任にとっては指導がしやすくなるというメリットがあるそうです。
今回の小学校の視察で感じたことは、発達障がいの傾向のあるなしに関わらず、誰にでも分かりやすい授業・環境を整備することは、子ども達の安心感につながり、学習意欲を高める結果に繋がっていくと感じました。間違いや出来ないことを気づかせるだけではなく、正しいことや出来ることを如何に具体的に丁寧に教えていくのかが重要なポイントだと思います。
子ども達の苦手なこと、学習のつまずきや困難さに対して、学習環境や教師の関わり方など環境の要因の両面から考えていくことも必要なことだと感じました。
今年度では、小学校としては第2弾として授業の全員参加から全員理解へとつなげ、視覚化、共有化、焦点化し、指導や支援の質を子どもの状況によって変えていく取り組みを行っていくそうです。
日野市は今後もこれらの実践例をさらに進化させ、教育と福祉を連携させ、0歳から18歳までをつなぐ支援にしていく計画を立てており、平成26年度には発達支援センター(仮称)を設立する予定との話でした。
今日の日野市立潤徳小学校の視察では、長時間にわたり丁寧なご説明を頂きました。
本当にありがとうございます。
この小学校の取り組みを足立区の中でも先進的な取り組みとして、つなげていきたいと思います。
文部科学省が平成24年12月に公表した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」の報告によると、知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示す発達障がいと思われる状態の児童生徒の割合は、全体の6.5%であることが明らかになりました。
その内、授業時間内に個別の配慮・支援を受けている子供たちは45%、授業時間以外の配慮が26%、現在も過去も支援を受けていない子どもは39%にものぼり、この調査の考察には「学習面、行動面で困難を示す児童・生徒を取り出して支援をするのではなく、それらの児童・生徒が理解しやすい配慮した授業改善を行うことが大切」との見解を示しています。
現在、全体で6.5%もの子ども達に発達障がい傾向があり、小・中学校だけでも約61万人程度もいる計算になります。この数値から、学習面や行動面で著しい困難を示す児童生徒が40人学級では2~3人、30人学級では1~2人在籍している可能性があり、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が「どの学級にも在籍している可能性がある」という意識をもつことが必要となります。
日野市では、平成22年度に東京都日野市の全小中学校25校・全教師約650名が参加し、通常学級内での特別支援教育の実践の現状と報告、到達点をまとめた書籍を発行しました。執筆者は東京都日野市公立小中学校全教師と教育委員会、日野市教育委員会の特別支援教育の助言をしている小貫悟明星大学准教授です。
学習環境から指導方法に渡るまで、発達障がいなどの傾向のある子ども達に対し、通常学級で配慮ある取り組みの実践事例集を東京書籍から「通常学級での特別支援教育のスタンダード」として一冊の本にまとめ、広く全国に向けて発行しています。
平成19年度から全国でスタートした特別支援教育に対して、日野市はいち早くその前の年の平成18年度から取り組みの検討を始め、市の教育委員会の中に特別支援教育推進チームを立ち上げ、明星大学と連携をし、各学校の巡回相談を強化し、どこの学校であっても特別支援教育に関わる悩みがある場合には、その内容に応じて行政や専門家などが相談にあたるという目標達成に向けた体制を整えたそうです。
ハード面では、全小学校に「リソースルーム」と称して、週に1~2時間の個別指導が受けられる学習支援室を設置し、平成19年にモデル校を立ち上げ、平成23年に全小学校17校で実施し、現在では約350人もの児童が利用しています。
また、中学校では、平成24年にはモデル校を立ち上げ、今年度からは2校のモデル校で「リソースルーム」が実施されており、1週間に1時間の学習支援が行われています。 この「リソースルーム」は個々の子ども達の学習支援である為、その子の能力や個性にあった教材や指導方法の工夫がなされており、基礎学力の定着に結びついています。
特別支援教育の視点を全ての児童生徒の指導に生かす取り組みを始めたことにより、一人一人の教育のニーズを把握した適切な教育支援が行われています。これは、障害の有無にかかわらず、全ての児童生徒の指導に効果を発揮しているようです。
校内見学もさせて頂きましたが、校内には様々な工夫がなされています。
例えば、全教室では徹底して落ち着ける環境を整えるように工夫がされています。
教室の中はすっきりとシンプルで余計なものは置かない、黒板の横の壁にはカーテンをつけ、掲示物を隠していました。棚にもカーテンをつけ、目隠しがされていました。これは、周りの刺激に配慮したものです。
提出物は整然と整理されるように、専用の箱が用意されており、視覚ですぐにわかるように箱一つ一つにシールが貼ってありました。
また、日常の学校生活内での通風、換気、室温、音などにも配慮しているそうです。
ちょっかいを出す、話しかけるなど、刺激し合う子をお互いに離れるような座席位置にするなどの配慮もしているとのことでした。
さらに、学校の活動面では、見通しがもてるように子ども達に意識を促す取り組みもされています。
例えば、一日の予定を確認し、子どもの状況や学習内容に合わせて、カードを使って提示したり、ICT(情報通信技術)を活用し、視覚的にわかりやすく示していました。
また、「一人一役マグネットボード」が各子ども達の机の前に貼り付けてありました。これは、日直の時には黒板に自分のマグネットを貼りつけたり、係の仕事が終わったら名前のマグネットを隣のボードに移すことで、仕事が終わった子と終わってない子が一目瞭然でわかるようにしたものです。これにより、子どもにとっては活動状況が自覚しやすくなり、担任にとっては指導がしやすくなるというメリットがあるそうです。
今回の小学校の視察で感じたことは、発達障がいの傾向のあるなしに関わらず、誰にでも分かりやすい授業・環境を整備することは、子ども達の安心感につながり、学習意欲を高める結果に繋がっていくと感じました。間違いや出来ないことを気づかせるだけではなく、正しいことや出来ることを如何に具体的に丁寧に教えていくのかが重要なポイントだと思います。
子ども達の苦手なこと、学習のつまずきや困難さに対して、学習環境や教師の関わり方など環境の要因の両面から考えていくことも必要なことだと感じました。
今年度では、小学校としては第2弾として授業の全員参加から全員理解へとつなげ、視覚化、共有化、焦点化し、指導や支援の質を子どもの状況によって変えていく取り組みを行っていくそうです。
日野市は今後もこれらの実践例をさらに進化させ、教育と福祉を連携させ、0歳から18歳までをつなぐ支援にしていく計画を立てており、平成26年度には発達支援センター(仮称)を設立する予定との話でした。
今日の日野市立潤徳小学校の視察では、長時間にわたり丁寧なご説明を頂きました。
本当にありがとうございます。
この小学校の取り組みを足立区の中でも先進的な取り組みとして、つなげていきたいと思います。
黒板横の壁は、各教室すべてカーテンで仕切られており、刺激物が目に入らないように配慮されています。
声のボリュームをわかりやすく表示しています。
一日の学習の流れが理解しやすいよう、視覚化しています。
これも視覚化の一つ。教科書のページ数が一目瞭然でわかりますね。
個別指導をするリソースルーム。
リソースルームの中。パーテーションで仕切られていて、棚にはやはり簾で目隠しをしています。刺激が入らないよう、配慮しています。