今日は横浜市港北区にある一般社団法人ペガサスに視察に行ってきました。
昨年の10月に開設をしている障害者自立支援法に基づく就労移行支援事業の施設です。
主に、知的障害の有無を問わずに精神障害者に対する中小企業の人材活用支援にも力を入れており、就職に不安を持つ区構成や大学生のための就労塾事業や就労コーディネーター育成も行っています。ここでは、精神障害や発達障害に特化したケアを行っています。その為、障害手帳を取得していない、そのような特性のある方々がこの施設を利用しています。
この施設に通っている方々は20代~40代の男性が多く、横浜の若者サポートステーション※から繋がってくる方々が多いそうです。
※地域若者サポートステーション(「サポステ」)では、働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者に対し、キャリア・コンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などにより、就労に向けた支援を行っています。サポステは、厚生労働省が認定した全国の若者支援の実績やノウハウのあるNPO法人、株式会社などが実施しており、平成25年度は全国160か所に設置されている状況です。
発達障害特性や何かしらの精神疾患をお持ちの方々は、体調のコントロールをうまくとることが困難なようです。そのため、在籍者数25人中、毎回60%の出席率とのお話でした。
この日は15人弱の方々が施設内でトレーニングプログラムをこなしていました。
このプログラムは各講座の習得だけが目的ではありません。
施設内トレーニングを通じて本人の得意分野である「強み」を発見しながら将来の希望に近づくようなプログラムを用意しています。
また、企業での実習の機会も提供し、社風や職場環境に触れさせると同時に、実際に仕事を体験させることで本人の「強み」が生かせることを実感させる自尊感情が高まるような施設内トレーニングと実習で養っているそうです。
施設内トレーニングでは就労支援に繋がるプログラムとしては実務以外にもコミュニケーションスキルや、就活ノウハウなど幅広いプログラムが必要となってきます。
中でもファシリテーターを用意したイイトコサガシもあり、ビジネスマナー・ストレスコーピングワークショップや電話応対や文章講座、SST、経理講座というようなプログラムが毎日計画だてられています。理事長さんが東京中小企業同友会という事もあり、東京都及び神奈川県中小企業同友会に所属する中小企業2700社の経営者とネットワークをつないだ就職活動に結びつくように心掛けているそうです。
精神障害や幼少期に見過ごされ社会にうまく溶け込めない発達障害傾向にある当事者に対する就労支援はきめ細かな豊富なメニューが必要です。そして何よりも、そのような困り感を持ち合わせている当事者が多くいるという事を社会がしっかりと認識し、そのような特性の人たちが持っている「強み」が生かされる社会を構築することが重要です。そして、当事者がうまくマッチングできる職場を提供することが担税力ある人材として活躍をさせる一つの手法でもあります。
今、成人期の発達障害がクローズアップされています。
高学歴で試験を難なくパスできる人が、社会に出ても全く還元できずにその能力が生かされず、孤立し、定職にもつけない状況があります。その理由は、本人の発達障害傾向の特性が強いがために、社会にうまく適用できないという困難さがあるからです。
しかし、幼少期に見過ごさた学歴が高いような人たちは、自分が発達障害特性が強いがためにそのような状況に陥っているとは絶対に感じてもいないし、認めようともしません。
そのような方々が周りを疲弊させ、当事者なりの困り感や生きづらさを抱えているであろう状況が現に垣間見れます。このような方々は、将来のビジョンも抱けず、ただ何となく日々の生活を過ごしているだけであったり、社会的な責任能力に乏しかったりします。
このような閉塞感しか生まれない、当事者達を如何に変えていけるのか。
それはそのことに気が付いた人たちが立ちあがり、その人たちに合った支援メニューを構築していくことが求められると私は感じています。当事者や当事者を知る家族であるからこそ、どこをどのように支援してもらいたいのか、具体的な支援メニューがどのようなものであってもらいたいのか、日々の支援策を手探り状態で模索する中で、現にそれらは生み出されてきます。
「無知であることの恐ろしさ」を私はつくづく感じています。
私はさらに研究をつづけながら、そのような強度の発達障害傾向を持っている当事者とそしてその当事者を抱え、生きづらさを抱えている家族に対して、より効果的・実質的な支援策のメニューが構築されるよう、政策立案と実現という形で足立区から全国を変えていく原動力を築いていきたいという強い想いで研究をさらに深めていきます。