今日は、中国残留帰国者の皆様との新年会に来賓としてお招き頂きました。
今年は、北区にある北とぴあ飛鳥ホールでの開催です。
足立区は、中国残留帰国者の居住者数においても全国で1、2番目を争う多さです。
中国残留帰国者は、中国語を話し、中国文化の中で生活してきたため、生まれ(育ち)の故郷は中国ですが、血縁の故郷は日本という複雑な状況におかれています。また、いわゆる中国残留邦人と呼ばれてきた人々の中には、終戦時およびその後の混乱の中で、悲惨な体験をされた方が多くいらっしゃいます。
中国残留帰国者への対策については、2008年4月に大きな転機を迎え、法律の改正により新しい支援制度が始まっていますが、言葉の問題、地域社会への参加、2世、3世の就労問題など多くの課題もあります。また、さまざまな支援体制は法律で決まったものの、それを運用・実行するのは各地方自治体であるため、自治体によって対応に差が生じています。
中国残留帰国者の皆さんが多く生活されている自治体として積極的な対策を行い、他の自治体のお手本となりえるような取り組みを私は区議1期目から取組んできました。
国や東京都、他の自治他、関係機関、当事者などからの聞き取り調査を行い、中国帰国者定着促進センター、中国帰国者支援センター、東京都中国帰国者自立研修センター、厚生労働省、東京都、江東区、練馬区、大田区などの視察や足立区内の中国残留帰国者の方々からの聞き取り調査を実施し、論文も書きました。
詳細;
残留帰国者問題の研究
この3期12年間の活動の中で、議会提案とその取り組みにより以下の内容が実現しています。
1.中国残留帰国者の皆さんへの正確な情報提供
(情報誌「故郷」が帰国者も編集に携わり、定期的に作成、発送されるようになりました)
2.中国残留帰国者の皆さんのコミュニティーつくり(情報交換、悩み相談)
西部福祉事務所で月1回の交流会を実施
3.地域の皆さんとの交流(区内の自治会などが中心となり交流会が実施されています)
…鹿浜・梅田・東保木間・青井・保木間・中央本町で実施
4.「あだち防災マップ&ガイド」が約150世帯に郵送されました(足立区が帰国者の皆さまに向けて発行している「故郷」と併せて、外国人向けに書かれた防災マップを一緒に郵送を災害オウム対策調査特別委員会で提案し実施。)
5.中国残留帰国者向けの防災訓練を実施(足立区役所内敷地;中央本町にて)
でもまだまだ、支援が乏しい状況です。
言葉の問題や育った環境の違いなどにより、一般の方が利用するサロンでは、中国残留帰国者がなかなかなじめないのが現状です。
年齢的にも高齢者の皆さま方のため、純粋に日本語の学習というよりも、当人のケアや周囲の人とのコミュニケーションなどを目的とした、集える場を区内に増やしていくよう積極的にこれからも区に働きかけていきたいと思います。
また、中国残留帰国者の高齢化が進む中で深刻な医療・介護の問題と、その2世、3世の方々の就労が大きな問題になっています。その中で、2世、3世の方々は、「中国語ができる」「中国残留帰国者について理解がある」点で、帰国者問題解決の鍵になりうる存在です。そこで、中国残留帰国者に理解のある、2世3世に、帰国者の介護の現場で活躍してもらうことは、その能力の活用という点からも非常に有効であると考えます。
長年、習慣の違う社会で生活をされてきた中国残留帰国者の方の介護サービス等の申請支援や中国の習慣等を十分に理解した介護者の育成を進めていきます。特に2世・3世の人材育成を区としてバックアップするよう働きかけていきたいと思います。
中国残留帰国者への対応については、日本語が不自由という点だけを捉え、他の外国人と同じような政策を進めると、さまざまな問題を引き起こす事が考えられます。心のケアなどに十分配慮しながら、急ぎすぎないように、じっくりと地域社会への参加をこれからも進めていきたいと思います。
この取り組みは中国残留帰国者にとどまることではなく、日本と違う文化で育ってきた外国人の皆さんへの取り組みにもつながっていくと考えています。
性別、年齢、国籍に関係なく、「足立区で暮らす すべての皆さんにとってやさしい街づくり」をこれからも目指し、足立区に暮らす全ての人にとって、「足立区が優しい街、温かい街」となるよう、その取り組みをこの足立区で全力で進めていきます!