今日は、明治大学の学生相談室からお借りした発達障がい支援DVD「アスペルガー症候群って知っていますか?発達障がいの大学生支援ガイド‐明治大学 学生相談室創立50周年記念事業-」を自宅で鑑賞しました。
明治大学では、発達障がい傾向にある学生に対する支援を明治大学心理学の大学教授が行っています。
学生相談室では、創設50周年を迎えた記念事業の一環として、明治大学連合父母会の協賛を得て、発達障害を抱える学生を支援するためのDVDが作成されています。
100人に1人の割合で出る発達障がいは、こだわりの強さや人とのコミュニケーションが上手くいかないと言った特徴があります。これは生まれつきのもので、親の育て方やいじめなど後天的な要因で起こるものではありません。
近年、この発達障がいが注目されています(特に成人期の発達障がい)。
2005年に発達障害者支援法によって、発達障がい者の自立と社会参加を目的として、都道府県・政令指定都市への発達障害者支援センターの設置や発達障害情報センターの設置など様々な取り組みが行われています。しかし、発達障害支援法という法律ができたにもかかわらず、まだまだ国としての整備が乏しく、発達障がい特徴や支援方法が知られていない・確立されていないために、また、診断名を付けられる医師が少ないために(専門家の話しでは、社会整備が整っていない状態でもあり、見過ごされて成人期まで達してしまった場合には、当事者の困り感がなければレッテルを貼るだけになってしまう為、診断名をあえてつけない場合が多いそうです。その場合には、当事者が抱える障害の程度は重いとみてよいと思います。)、診断名がつかないまま学生期まで至っている、グレーゾーンの当事者達がたくさんいます。
明治大学では、近年、調査をしたところ、発達障がい傾向にある学生に関する相談件数が多くなってきたそうです(当事者、家族、教職員から)。このため、大学の教員や大学生たちにも向けて、診断名がついていない発達障がい傾向にある学生に対するサポートの仕方や、当事者が学内で適切な支援を得ることで支障の少ない大学生生活が如何に送ることができるか、検証をし、その内容をDVDとして出されました。
このDVDでは、大学生活のいろいろな場面でどのような支援が望ましいかを詳しく解説されています。
明治大学では英国自閉症協会の4つの仕組みを取り入れているそうです。
Structure
構造化
言葉で伝えるよりも、枠組みを持って対応をする。
例えば、メモを渡し、視覚で訴えるやり方。
Positive 褒める・肯定的に
肯定的に接する事。
Empathy 共感
当事者の考え方を受け入れること。
Low arousal 低刺激
ストレスや・不安を与えないようにする。
Links 連携
多くの人・機関が当事者を一緒に支援していく。
発達障がい傾向の当事者を囲む、家族・先輩・友人・教職員・医療が連携して、本人の支援をする。
明治大学学生相談室の特徴は、大学教授が相談員として在室していたり、弁護士・臨床心理士・精神科医が所属しているそうです(駿河台キャンパス・泉キャンパス・生田キャンパス全て)。そのため、勉強や法律問題、友人問題や家族問題、そして精神衛生など一人一人のきめ細やかな種々の相談に対応できるようになっているようです。
以前は、自閉症とは言語発達の障害と知的障害を併存している疾病として理解されていました。しかし、近年、言語もそれなりに使えるし、知的には障害は全くないけれども、自閉症っぽい人や、友人関係などのトラブルがあった際に、鬱っぽくなってしまう人、特有のこだわり感を持ち続け自分の殻に入ってしまう人にも自閉症が該当するという事がわかってきました。
自閉症は、機能の低いものから高いものまで一連のスペクトラムを形成すると言われています。この中で言葉も話せて知能も高い自閉症を、高機能発達障害もしくは、アスペルガー障害と定義されるそうです。
その特徴は、ウイングによると下記のようになります。
①コミュニケーションの障害 (相手の言葉の意図を理解しづらい、特に聴覚記憶が弱い、文章にすると理解度は増すが、行間・文脈・譬え・冗談を理解しづらい)
②社会性の障害(空気が読めない、集団活動が苦手)
③想像力の障害(こだわりを持つ、生活パターンへの固執、知識および関心の偏り、想像力の弱さ)
明治大学の資料によると、このような発達障害を抱えている人が自己の心の破綻を引き起こした場合には、その破綻の表現方法は、極めて尋常でない状況を引き起こすそうです。
文献にも紹介されていますが、ひきこもり・抑鬱・対人緊張・自傷・乖離反応・身体化障害・強迫性障害などを示すそうです。これらの症状は欲動‐自我の葛藤(神経症)によって生じる症状と同じで、その原因は、環境‐自我の不適合があるそうです。そのために、不適合になったものへの援助は、不適合な部分への指導や教育であり、環境調整になるそうです。
確かに、成人期まで達している当事者を抱えた家族からの事例を挙げれば、パートナーがそのような立場の人間だった場合、先ず、自分のルール化した生活スタイルと自分の常識を強力に相手を併せさせようとするため、当事者を囲む家族が振り回されます。当事者に対して如何なる説明をしたとしても、本人なりのこだわりがとても強く、また知的に能力がとても高い当事者の場合は大変理屈っぽい為、それを覆す理論武装にも大変困難が生じ、結局、当事者を説得することができない状態が続きます。当事者に対しいくら説明しても難しい状況や本人の理解が得られない状況下での生活は、大変厳しいものとなります。強いこだわり感を持つ当事者と家族との生活にズレが生じ、当事者は強度のストレス障害が生じ、2次障がいとして鬱や引きこもり傾向が顕著に出ます。また、事例として例えば、本人なりの行き場の無さに、何回も家出を繰り返し行うことや、自殺念慮を口にすること、例えば、帰宅しても布団の中にこもったままピクリともしない状況下を何十時間も作ってみたり、尋常でない行動を何回も繰り返します。
幼少期に見過ごされたまま成人期まで達してしまった場合には、周りがそのことに気付く頃には、当事者の社会との不適合性の程度が重い場合が多く、当事者はその状態で生き続けてきたために、当事者なりに困り感を感じていたとしても、自尊心の高い当事者の場合には、今までの自分を否定することにもつながるため、困り感を隠そうとします。
その為、当事者を医療機関につなげるのが大変困難な状況が続き、つなげたとしても、絶対に認めようとしません。
社会的な不適合性のひずみが大きければ大きいほど、また家族との調整も困難で重いケースが多く、その当事者を支援するためには、家族や専門機関、職場や友人も含めて、多くの連携が必要となります。
このように、非常に程度が重い、成人期まで達してしまっている当事者たちはたくさんいるそうです(専門機関の話より)。
早期発見、早期対応が重要です。
このように実際に行っている大学の検証事例を足立区でも活用し、教育の現場やまた、家族支援につながるよう、行政職員の皆様と協力をしながら、構築をしていきたいと思います。
成人期まで発見されずに社会や家庭でも不適応な状態の当事者をどのように支援をしていくのか、様々な研究をしながら、少しずつでも足立区から強固な支援策を構築していくことに専念して行きたいと思います。